マスター東京へ行く(その2)


まずジョーカーへ。最も興味があるお店である。

近藤氏は仕事の都合で遅れるので私と福富君二人で行くことになった。

私は、例によって黒のスーツにオレンジ色のシャツ、黄緑のネクタイと、およそ銀座には似つかわしくないいでたち。さすがにアメ横で買ったばかりのサングラスはポケットに入ったまま。

「その格好は、お昼よりまずいですよ。」と福富君。

彼の心配通りビラ配りの女の子達からもとうとう一度も声をかけてもらえず、通りを行く人達の何人かは思わず振り返るありさま。およそ引退した力士にでも間違えたのだろうと、本人はいっこうに気にしなかったが…。

7:00pmオープンと同時にジョーカーへ入る。お客は、私たち二人だけ。 その日の従業員は男女2名ずつ。丁寧な言葉使いでカウンター席に案内される。

ジョーカーの女性従業員
ジョーカーの女性従業員

マジックは7:30頃から始まることらしい。しかし残念な事にマスターが、まだGW休み中で今日は出勤してこない事を知らされた。出演するマジシャンはいるものの大阪からきた私にとっては、やはりマスターに会いたかった。

こじんまりとした店内は、7:30を待たずにカウンター席はいっぱいに。順番待ちのようなテーブル席はショーが始まると、いつのまにか満席になっていた。

そしてこの満席の店内を従業員の人達が手際良く働いている。 満席の状態が、ごくごく日常なのが容易に感じられる。

私は、同業者のお店に行くと必ずまず最初に自己紹介をすることにしている。 これは、同業者としてマナーで、また、マジシャン同志の一つの仁義みたいなものであると考えている。特に私のように一目で怪しいと思われてしまう者は…。

実際、店でサービスする者や、マジックをするものにとって、あとで同業者やマジシャンとわかると、正直言ってあまり気分の良いものではない。

ショーは約一時間。マスターはお休みではあるものの、二人のマジシャンが出演した。

この店では、他のお店と同じようにカウンター席がショースペースになっている(というよりも、バーノンズ・バーのマジックテーブルのほうが、むしろ特殊である)。

一人目のマジシャンはウェイターのひとり。

実は彼、本職は俳優であると後で聞いた。なんとなく髭がカッコよくきまっている。 人あたりも良くさすがである。 マジックは、ここに来てから覚えたらしいが、もともとの素質のせいか、 30分間お客を引きつけて離さないのは見事である。

髭がきまってます
まずはウェイターの彼が楽しませてくれます。
本日のマジシャン:寺岡利美さん
この日のマジシャンは寺岡利美さんでした。

そして、いよいよ本日のマジシャンの登場である。

オープニングからフィニッシュまでよく考えられた構成でまとめられている。 このジョーカーの一つの名物になっているレモン技も、前半の伏線がとてもよく効いている。

詳しく書けないのは残念だが、彼の演技はいろいろと参考になり大阪へのいい土産となった。

ジョーカーを出た二人は、仕事を終えた近藤氏と合流し夕食をとった。

ここで、近藤氏から一つの提案を受けた。それは、今回予定になかったもう一軒の店に行こうと言うものだった。 そこは、同じ銀座にあり最近評判の店で、近藤氏自ら強く興味を抱いている店ということだ。

その店の名は「香莉ん」。

今までにはないマジックバーらしい。これは、どうしてもその店に行かなくてはならなくなった。

三人は、早々に食事を済ませ、香莉んの場所を探しに店を出た。

その3へ続く

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