マスター東京へ行く(その5 完結編)


5月9日

二日目の朝、ゆっくりと朝寝坊を楽しんだ。昨夜のアルコールのせいではなく、一昨日ほとんど満足に睡眠を取らず大阪を出発したので、本当に気持ちよく眠ってしまったのだ。
 ましてホテルは連泊ということで、チェックアウトの時間を気にせずゆっくり出来た。そして昼寝坊になる前にホテルを出ることにした。

さて今日の予定は赤坂「うさぎや」である。

「うさぎや」は最近コミックの舞台になったらしく、東京で今話題の店になっている。
 残念ながら私はそのコミックのことについては、何ひとつ知らなかった。しかし、いずれにしてもこんな真昼間から店を開けているわけもなく、夕方まで時間をつぶすことになった。

とりあえず新宿へ、昼食の後はとにかく歩きまくることにした。
 歌舞伎町の雑踏を体に受けながら汗ばむ陽気の中を歩いた。
 バッテリーの切れてしまった携帯電話の充電を近くのTu-Kaショップに頼んでは、また歩き始めた。
 多国籍なのか無国籍なのかよくわからないこの街のエネルギーを感じる。
 この喧騒の中にいることが、私にとってまさに癒しである。
 たっぷり充電を終えた電話と私はホテルに戻ることにした。

今夜も近藤氏が付き合って下さることになった。しかし、近藤氏は仕事の都合で少し遅くなるということなので、先に赤坂まで行くことにした。
 例によって夜の装いに身をつつんでの出発ではあるが、昨夜よりは少々大人しくした。前の轍は踏まないのだ。

赤坂東急ホテルの前でタクシーを降りた私は、約束の時間まで、私にとってほとんど始めてのこの街を散策することにした。
 上品な飲み屋街に大きなパチンコ屋があるのには正直驚いた。
 近藤氏と、遅い夕食をすませ「うさぎや」へ向かった。
 電話で聞くと、なにやら神社の境内のような所を入り、路地を曲がった所にあると言う。

しかしそこにあった「うさぎや」は、どう見てもマジックバーではなく、落ち着いた趣のある料亭であった。
 他にこの近くには「うさぎや」の看板はなく、また和風造りの店と聞いていたので、今回は迷うことなく店に入ることにした。

「いらっしゃいませ」の言葉と同時に「坪井さん」(私の本名である)と声が掛かった。出迎えてくれたのは小林俊晶君と言って、現在は東京中心に活躍しているが元々大阪出身のマジシャンである。
 自己紹介の手間が省けた私達は、カウンター席に着いた。
 ここ「うさぎや」では、食事席とバーカウンター席に分かれていて、マジックなど目当ての客はカウンター席に案内される。和風の内装ではあるが、ホテルのバーを思わせる本格的なものである。


小林君とうさぎやの女性従業員

この日は、小林君の他にもう一人マジシャンがいた。実は彼も関西出身でバーノンズ・バーにもかつて来たことのある若手マジシャンである。ここで二人の顔見知りマジシャンと再会するとは、本当に驚いた。
 どうやら、日替りで若手のマジシャンが出演しているようで、私として羨ましい限りである。
 本格的なバーカウンターに可愛らしい女性のバーテンダー、つぎつぎに出てくる活きのいい有望な若手マジシャン達。コミックの舞台になるのも納得できるし、また、もしならなかったとしても今のような評判の店になったことが確信できる、三拍子そろった店といえるだろう。


久しぶりの再会で、
演技にも力が入ってます


本当にこの二日間は久々にいい刺激を受けることが出来ました。

マジックバーの横綱的存在「ジョーカー」
名前とは対照的なマジックバーのニューウェーブ「香莉ん」
店にもお客にも歴史を感じる暖かい店「ぽいんと」
本格バーカウンターを持つお洒落なマジックバー「うさぎや」

まだまだ素晴らしい店、頑張っている店、マークする店がたくさんあることを知らされました。
 我々バーノンズ・バーも負けずに頑張らなければならないと決意しました。



とまあ、いい刺激も結構ですが、やっぱり東京まで来たんですからここからは少し悪い方の刺激も受けに行きたいと思いますので、皆さんとはこの辺でお別れします。銀座、新宿、赤坂と来たんですから、やっぱ六本木っしょ。

ひとりタクシーに飛び乗ってマスターは消えて行きました。やはり最後は予想通りの結末になってしまいました。ダメだこりゃ。


東京の皆さん有難うございました。明日、大阪へ帰りまあす



おまけ:今回マスターがお邪魔したお店のリスト


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